W2×1　【MiyabihimeA】

「無駄だよなぁ・・」
　呆れた口調で呟いて、デュオは苦笑する。家の大きさも、敷地の広さも、資産や金に執着しないデュオにとっては莫大な管理費がかかる無駄な存在だった。
「・・・デュオは、この家が嫌いなのか？」
　広くて立派で・・・嫌う理由がわからない。きょとんと首を傾げたヒイロの手を握りながら、額に軽いキスを落とす。
「嫌い・・・ってほど、感情移入してないけど」
「けど？」
「ヒイロが好きなら、こういう家を建てようか」
　本気で言っているらしいデュオの言葉に、どう反応していいか困る。別に広い必要もないし、管理が面倒そう・・・顔に表れた素直な感情に、くすくす笑い出したデュオが髪を撫でた。
「ごめん、意地悪じゃないよ。ほら、やっと着く」
　言葉通り、玄関へのアプローチが終わる。入り口でヒイロが歩きたいと言わなければ、ここまで車で来たのだろうけれど・・・。
「お待ちしておりました、デュオ様」
　丁寧な挨拶で迎えてくれる執事に、鷹揚な態度で隣を擦り抜けるデュオ。握った手が促すままに中へ踏み込み、美しい外見を裏切らない屋敷の内装に感嘆する。
「兄さん、随分遅かったんですね」
「・・・兄って呼ぶな」
「わかりました。では、デュオさんもヒイロさんも・・どうぞこちらへ」
　金髪の少年が笑顔で出迎えてくれた。デュオを兄と呼ぶ時点で、この少年が弟なのだと理解したが・・・まったくと言っていい程似ていない。腹違いでも、父親は同じなのに？
　家の主である少年が導いたのは、庭を一望できる２階のテラスだった。
「お茶は何がいいですか？」
「いらない」
「冷たいですね・・」
　残念そうに言われ、俯く姿は同情を誘う。しかしデュオは慣れている分、そんな少年の態度にも絆されなかった。
「報告に来ただけだ。これからオレ、ヒイロと暮らすから」
「・・・・ヒイロさん、男ですよね？」
「そうだけど、何？」
「・・・・・・・・いえ、別に」
　兄弟の久しぶりの会話を、ヒイロは小首を傾げて見ていた。デュオが言っていた程、仲が悪いようには思えない。
「じゃ、挨拶はしたからな！」
　念を押して、ヒイロの腰を抱くと踵を返す。
「本当に帰っちゃうんですか？」
　まだ１５歳くらいの外見相応の幼さで、慌てて後ろを走ってくる。
「デュオ・・」
　くいっと袖を引いて呼び止めようとすれば、逆にお姫様抱っこで抱え上げられてしまった。
「いいの、ヒイロは気にしない」
　まだ５分も滞在していないのに、デュオはさっさと家を出てしまう。庭の途中で置いてきた筈の愛車は、いつの間にやら玄関に横付けされていた。
「兄さん！」
「用があるなら、そっちから出向け」
　助手席のヒイロへ柔らかな笑みを向けた少年に、吐き捨てたデュオは車を発進させる。家族に紹介したというより、顔を見せただけの数分間に・・・普段は大人びているデュオの意外な一面を見た気がして、ヒイロは目を瞬かせた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 To Be Continued....

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　・・・あはは、弟の名前出すの忘れた。でも「シュリアンス」って苗字で、分かる人もいるね（苦笑
　ゴメンなさい、あまりにも長くなるので・・・32000GETと40000GETを続き物にしちゃいます。もちろんキヨミ様とら～様は、好きなだけ共有していただいて大丈夫なので！！