W2×1　【MiyabihimeA】

　　ダァーン。
　銃声が響いてテロリストが前のめりに倒れた。ほぼ同時に走り出したデュオが転がり、周囲の男達が放った銃弾を掻い潜る。人質だった女性を庇う体勢で、左手を一閃させた。
　きらりと輝くワイヤーがテロリストの利き腕を切断する。援護に入っていたヒイロが銃弾を見舞うと、その場の役者は完全に入れ替わった。勝者と敗者が逆転したステージで、黒い服についた埃を払ったデュオが身を起こした。
「・・・これで終わりか？」
　見回した先で人質が１人足りない。眉を顰めたデュオの耳に、ヒイロの警告が届いた。
≪後ろだっ！≫
　インカムに響いた声に振り返ったデュオのすぐ脇を熱が走る。右肘の僅かに上を掠めた銃弾は、服の表面を焦がして通り抜けた。青紫の瞳を細めたデュオが舌打ちし、少し先に転がる己の銃へ手を伸ばすが・・・。
「動くなっ！」
　いい加減聞き飽きたセリフが飛んできた。
≪・・・こっちは確保した≫
　ヒイロの声が、先ほど救った女性が無事なのだと伝えてくる。これ以上の失態を避けられそうだが、ヒイロが動けなくなったことで残る１人はデュオの分担になった。生きている以上、人質の命を奪われる事態は避けたい。彼女達に罪はないのだから・・・。
　ちらりと視線を向けた足元、あと数歩の位置に銃がある。しかし、それを拾う時間を男が与えてくれるとは思えなかった。早々に諦めて視線を戻す。
「おれが逃げ切るまで、そこから動くなよ・・・・」
　じりじりと後退る男に引き摺られる女性が悲鳴をあげ、必死で逃げようと踠いた。それはテロリストを刺激するに十分な行為で、彼女にとって危険だ。
「・・っ！　やめろっ！！」
　自分へ向けていた銃口を彼女の顳に押し当てた男に、叫んだデュオが床に転がる。一度捨てた銃を拾い上げて、転がる勢いを利用して男に照準を合わせた。引いたトリガーは軽く、消音器付きの小銃に銃声はない。
≪デュオ！？≫
　ヒイロの問いかける響きに「大丈夫」と短く返した。
　倒れ込んだテロリストの腕の中から、腰を抜かした女性が這い出てきた。彼女は無事だ。そして・・・デュオも無傷だった。
「ったく・・」　
　思わず寝転がって天上を仰ぐ。美しい星空に溜め息を吐き、寒さに白く凍る息を見送った。

　人質を地元の警察に預け、任務の報告を終えた２人はホテルに戻っていた。
　すっかり冷えた指先でヒイロの頬に触れれば、びくりと身を竦ませる。デュオの青紫の瞳を覗き込みながら、ヒイロが同じようにデュオの頬へ手を滑らせた。
「さっきはありがとな、助かった」
　警告に礼を言えば、黒髪の戦神は微笑を浮べる。戦場で見せる壮絶な笑みとは違う、どこか穏やかな雰囲気を湛える表情は優しかった。デュオの口元に視線を映したヒイロが、誘いを向ける。
「礼代わりに温めろ」
　一瞬目を見開いたデュオだが、蒼瞳に浮かんだ情欲の色に気づいて口端を引き上げた。
「それって、命令？」
「気に入らないか？」
　今回の任務の責任者はヒイロだ。デュオはサポートで入ったに過ぎず、指揮権はヒイロが持っていた。もう関係ない筈の力関係を匂わせて笑うデュオを、ヒイロは傲慢なまでに強気な態度で受け止める。
「いや、最高だね」
　美しい顎のラインを右手で辿り、左手で顎を持ち上げさせる。１０ｃｍほどの身長差で上向かされたヒイロの唇を、そっと舌で触れて舐めた。
「・・・しっかり、温めてやるよ」
　唇に触れたまま宣言し、ヒイロの薄く開かれた唇へ深く重ねた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 To Be Continued....

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　明日、エロっぽいシーンを囲うと思うのですが・・・あまりエロくなければ表でそのまま。もしヤバい感じ（笑）だったら、★つけて裏に持って行きますね。
　任務中だとエロできないので、ホテルに帰ってから・・・になってしまいました。

【拍手コメント御礼】　ユウキ様・・・企画ＳＳ、年末年始も頑張りますね～。っと・・・52000GET分は届きましたか？　忘れちゃって・・すんませんでした；