W2×1　【MiyabihimeA】

「奴か？」
「ああ・・・」
　基本的に無口な２人の会話は、要点のみをかいつまんだもので、他人には理解しづらい。デュオに言わせれば「必要なことまで省略している」らしいが、別に不自由はないので直す気はない。
　能天気なアメリカン男の顔を思い浮かべ、ヒイロは購入したお茶に口をつけた。普段と同じ筈の緑茶をひどく苦く感じて眉を寄せる。苛立ちに舌打ちしそうなヒイロへ、隣でウーロン茶片手に五飛が肩を竦めた。
「行って来い」
「だが・・」
「後悔するぞ」
　見透かしたような友人の忠告に、素直に頷いたヒイロが紙コップをゴミ箱に放る。狙い過たずに飛び込んだカップを見送った五飛が視線を戻した時には、すでに友人である黒髪の少年は姿を消していた。
　すぐ先の廊下を曲がったのだろうと見当をつけながら、小さく呟く。
「そんなに心配なら、すぐに向かえばいいものを・・・」
　まあ、素直じゃないくらいがアイツらしい。
　くつくつ喉を震わせて笑うと、五飛も後を追って学園長の部屋へ足を踏み出した。

「そ・・・それは・・・っ」
「構わないぜ、オレは”手を引いて”も」
　口調を変えて強気に出たデュオに対し、学園長は見る間に顔色を失った。何が起きたのか理解できない周囲の教師と当事者の女学生を振り返り、デュオは三つ編みの先を弄りながら口元を歪める。
「アンタはいいとして・・・」
　ぽんと同僚の教師の肩を叩く。通り抜けながら、青紫の瞳を眇めた。
「オマエは・・・」
「失礼する」
　ノックした直後に返事を待たずにドアが開く。そこにいたのは黒髪の・・・・何故か五飛だった。先に出た筈のヒイロがいないことに首を傾げつつ、五飛は視線を浴びる中を堂々と室内へ踏み込む。
「何をしている？　ヒイロはどうした？」
　もう着いている筈だ。そんなニュアンスの五飛だが、言葉を省略しすぎている為に意味が伝わらず、今度はデュオが小首を傾げた。
「いや・・今日はヒイロと一緒だろ？」
　今朝、そんな話を聞いたばかりだ。毎日迎えに行っては学校へ送り届けるデュオが聞いた限りでは、午後は大学院の特別講義を受ける予定だった。ならば、五飛も一緒だろうと思ったのだが・・・・。
「先ほどまで一緒だった。ここへ来ただろう」
「まだだ」
　２人の間の会話にキレたのは、デュオに濡れ衣を着せた女学生だった。
「ちょっと、無視しないで！！」
　くるりと振り返ったデュオと、冷たい視線を投げる五飛が同時に口を開く。
「「煩いっ！」」
　怒鳴られたことに吃驚して口を噤んだ彼女を他所に、２人は慣れた様子で話を続けた。
「だから、ヒイロはどうしたんだよ・・」
「ここに行くと俺より早く出た」
「・・・・はぁ？」
　じゃあ、どこへ消えたんだ？？？
　そんなニュアンスのデュオの渋面に、分厚い本が飛んでくる。パシンと音を立てて受け止めて振り返れば、視線の先にトロワがいた。
「五飛に失礼な口を聞くな」
「・・・・トロワ、今はそんな場合じゃ・・・」
　溜め息混じりのデュオの言葉を助けてくれたのは、さらに意外な人物だった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 To Be Continued....

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　混乱に混乱を注ぎ足して、さらに混乱で割ってみました・・・みたいなカンジ（汗；
　次々とメンバーが増えていく中、残る魔王様（大笑）と堕天使様の登場を楽しみにしましょう。というか、堕天使様はどちらへ？？？　

【拍手コメント御礼】　匿名希望様・・・お名前ないんですけど、文章的に「ユウキ様」でしょうか？　違ったらゴメンなさい。高崎近辺なんですか？　そりゃーもう、綾雅に連絡先を知られたら「電話攻撃」と「会ってお茶しながら21談義攻撃」で参ってしまうでしょう（大笑　それでもよろしければ、連絡先ください！！　すぐにメールor電話で返信します！！！←をい？　ナンパか？？？
　もるもっち様・・・怖い女子高生より、さらに怖い堕天使様が行方不明に？　もう核爆弾でも勝てないでしょう！　確かに、あの２人・・・ある意味「宇宙人」です。　ユイ猫様は、今日も元気に綾雅の手を齧ってから蹴り蹴り攻撃をして楽しそうでした・・・綾雅の手は傷だらけです（涙