W2×1　【MiyabihimeA】

　勝手知ったるなんとやら・・・手馴れた様子でフィルターをセットし、水とコーヒー豆を入れる。こぽこぽと軽い音を立てて溜まるコーヒーを眺めるヒイロの背後に近付き、デュオが後ろから腰に手を回した。が、抱き寄せる前に叩かれる。
「痛っ・・」
「痛い筈がない」
　取り付く島のない冷たい声に、お手上げと両手を上げたデュオが肩を竦めた。
「・・・で？　どっから見てた？」
　中断した話を促すデュオへ、ヒイロはマグカップ片手に振り返る。しかし、自分の分しか注がないのは、非常に彼らしい行為だった。気にした様子なく、デュオも自分の分を注いで口をつける。咥えていた甘い香りの煙草を灰皿に押し付けた。
　一口飲み・・細い息を吐き出してから顔を上げたヒイロが、蒼い瞳を眇める。美人な分だけ迫力があった。
「お前が呼び止められた辺りから」
「つまり、最初っから・・・ってワケか」
　苦笑してしまうのはしょうがない。ある意味、中途半端な場所から見て誤解されるよりマシだろう。そう判断したデュオの三つ編みを掴んだヒイロが、ぐいっと男を引き寄せた。机の上に置かれた２つのカップが音を立てる。
「随分”お優しい”んだな・・」
　上手に本性を隠してるじゃないか。
　厭味混じりの微笑を可愛いと思ってしまうのは、デュオがヒイロに惚れているからだ。何でも可愛くて許してしまう。かなりキツい皮肉屋なヒイロの瞼に接吻ければ、反射的に目を閉じる。途端に幼くなる顔も好きだった。
「・・・・・・誤魔化す気か・・」
　唸るように告げられ、にっこりと笑顔で額や頬にもキスを降らせた。
「最初から見てたんなら、オレに非がないのも知ってるだろ」
「煩い、女ったらし！」
「・・タラシって・・・・酷いな。オレはヒイロ一筋だぜ」
「―――証明しろ」
　くすっと笑ったデュオが、慣れた仕草でヒイロの腰を抱き寄せる。唇を重ねて舌を絡ませれば、苦いシガーの味がした。さらに深くを望んで絡める積極的なヒイロに、デュオは促されるまま貪り尽くす。
「っ・・・はぁ・・・・・あ、ン」
　甘い声が漏れた唇が、唾液に濡れて光る。うっとり細められた蒼い瞳に魅せられ、眦（まなじり）に唇を寄せた。ちゅっと音を立ててキスを落す。抱き合ったままの細い肢体がびくりと揺れた。
「もっと先も、証明していい？」
「・・・っ！　ここでは・・ダメだ」
　熱い吐息をデュオの首筋に吐き出しながら、否定の為に言葉を紡ぐ。乱れた呼吸に阻害されながらも強気な口調で告げた。
　そんな・・・潤んだ瞳で言われても、誘われてるとしか思えないんだけど・・・・。ここで抱いたら、しばらく触らせてもくれないだろう。それは困ると、デュオは散り散りになりそうな理性を呼び起こした。
「じゃ、後で・・・」
　ベッドの中と同じ低い声で、耳元に声を吹き込む。見る間に赤く染まる首筋に、つい我慢しきれずに唇を押し当てた。軽く吸い上げ、赤い印を残す。
「今夜、オレの部屋でいい？」
　真っ赤な顔を逸らしながらもヒイロは小さく頷いた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 To Be Continued....

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　ここまでは「ひたすら甘く、幸せに」進行しましたが、もちろんこのまま終わるほど甘くありません（笑）　どうなるんでしょうね？　うふふっ・・・←おい？
　しかし、ヒイロがやたら素直だ。こんなに快楽に弱くていいのか？　いや、単純にデュオに弱いのか・・・それも問題だな。何しろ学生だし、先生が手を出すのは許されるのか？　←今更；

【拍手コメント御礼】　ユウキ様・・・続き、ちょっぴり甘いです。でも今後は少し辛いかも？　酸っぱい方が好きかも・・え？
　もるもっち様・・・いやぁ、清く正しい社会人×学生じゃないですか！　←どの顔でそれを言う？（呆　今回は誘い受け系のヒイロと、ちょっとホストっぽい（笑）デュオです。教師じゃないだろ、すでに（大笑