W2×1　【MiyabihimeA】

　ガンダム・パイロット達の策士に問えば、彼も小首を傾げた。
「ヒイロもデュオも単独行動タイプですから、一緒に動く意味はないと思います。ただ・・・・もしかしたら」
「もしかしたら？」
　繰り返して促すレディに、トロワが横から声を掛ける。
「何らかのアクシデントが考えられる」
「ケガか？」
　ありえないと鼻で笑う五飛の指摘に、顔を青ざめさせるレディ。だが、トロワやカトルは五飛と同意見だった。あの２人がこの程度の訓練で、ケガをする筈がない。銃を使っていて弾薬が切れるという事態もないのだから、疑問は膨らんで大きくなる。
「聞いてみますか？」
　提案したカトルに、レディが頷こうとした瞬間―――パン！
　軽いクラッカーのような音がして、カトルの頭が赤く染まる。反射的に床に伏せた五飛と、トロワは迎撃体制を整えたが・・・・敵は上にいた。天井の板を外した穴から、狙い撃ちにされる。
「き・・・貴様っ！」
「油断大敵、自分が安全だと思ってるから殺られんだぜ♪」
　浮かれた口調で飛び降りたデュオは、怒りに震える五飛に肩を竦めた。
「どういうことだ？」
　問いかけるトロワの左胸を背から撃ち抜いたペイント弾は、彼の背を赤く濡らしていく。伏せた姿勢から立ち上がった五飛の後頭部にも、ペイントは花を咲かせていた。
「はい、死体は黙って」
　しぃっと唇に指を当てて質問をかわし、デュオは唯一無事なレディに照準を合わせる。
「―――チェックメイト！　終わったぜ、ヒイロ」
≪了解した≫
　通信機の向こうから聞こえる声と同時に、残っていた８人のグリーンランプが赤に変わる。
「これで全滅」
　くつくつ喉を震わせて笑うデュオの右肩も、赤いペイント弾が乾いて付着している。それを負傷と判断するルールに準じ、左手で銃を握った男は三つ編みを弄りながらご機嫌だった。
「・・・事情を説明してもらおう」
　レディの冷静な声に、デュオも表情を引き締めた。
「ヒイロと合流して、敵から奪った銃で”頭”を叩きに来ただけさ。尻尾や手足をいくら切り落としても、復活されたら意味ないだろう？」
　先ほどの作戦変更を揶揄る彼の明るい口調と裏腹に、その顔は真剣そのものだった。
「ゲームを楽しむなら、危険を覚悟しなくちゃな。実際のとこ、こうやって本部を急襲される可能性だってあるんだ。もっと緊張感を持たなくちゃ・・そうだろ？」
「・・・・・いい加減な訓練は時間の無駄だ」
　背後へ問いかけるデュオが三つ編みを放る。開いたドアに手を掛けたヒイロが、溜め息混じりに告げた言葉は辛辣だった。
「”次から検討する”のもいいけどさ、現場のエージェントに次はないかも知れないんだ」
　はっとする。
　デュオの指摘に、誰もが言葉を失う。甘い訓練で戦場に出て、殺されるのは彼ら自身だった。ならば戦場へ向かっても生きて帰れるだけの実力を身につけさせるのが、組織としての教育なのだ。
「わかった。訓練方法を一新する」
　強い眼差しを和らげたデュオとヒイロへ、レディは静かに約束を口にした。

「ところで、デュオの発信機はヒイロが預かったんですか？」
　発信機が動けば気づいていましたよ。
　赤く染まった髪を不満そうに弄るカトルの言葉に、デュオは慌てて迷彩服のポケットを探す。いくつも手を突っ込んでは、様々な物を引っ張り出した。だが、発信機が出てくる筈もない。
「悪ぃ、落としたみたい・・・・」
　あははっ・・・笑って誤魔化そうとしたデュオへ、ヒイロが静かに左手を差し出す。その上に乗っていたのは、デュオが持たされた発信機だった。
「・・・・・掏られても気づかないとは・・」
　心底呆れたと告げる黒髪の戦神へ、死神は引き攣った笑いで「すみません」と頭を下げた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 To Be Continued....

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　結局、ヒイロの一人勝ちぃ！！！　やっぱヒイロが最強でした。五飛は伏せたのに上から撃たれたのは、不満だったでしょうね。リベンジされそうなので、次の訓練ではデュオを狙い撃ちです（笑
「貴様、逃げるのか！」と叫ぶ五飛に「だって追いかけられたら、逃げるだろ」とか言いながら・・・あ、この２人だとどうしてもコメディ（大笑
　
　100のお題自体は続きますが、この話はここで終了。次はどんな話を書こうかなぁ！　お題だから、パロパロ（パロディ設定のさらにパロ）しちゃおうかな？